最近、「観光バスのツアー料金が高くなった」と感じたことはありませんか。確かに、料金が値上がりしていることは事実です。
きっかけは、関越道の高速ツアーバス事故でした。平成26年4月、国土交通省は新たな貸切バスの運賃・料金制度をスタート。バスを安全に運行できるコストを含めた適正な価格として通達されました。
さらに物価高や人件費の高騰などを考慮し、2023年6月27日より「新公示運賃額」がスタート(9月末頃から順次適用)。社会情勢やバス会社のコストを反映した最低基準額が決められ、これを元に各バス会社が運賃単価を届け出る制度に。
最低基準額を下回る料金でバスを運行することはできなくなり、また、各バス会社ごとに単価が異なるため、見積りを取り寄せない限り正確な料金を知ることができなくなりました。
これまでももちろん、きちんと決められた料金制度はありました。しかしながら「より安く移動したい」という利用者のニーズや旅行会社同士の価格競争などがあり、守られてこなかったという経緯があります。
つい先日、2016年1月15日に起きた軽井沢スキーバス事故も、バス会社が最低料金を下回る金額で受注していたことが問題になっていましたよね。
安心、安全とサービスの質を確保するためにやむなし、と言うことは理解できます。でも、実際のところ、お得な料金でバスを使いたい!というのも事実。
この機会にあまり知られていない「観光バス」を使ったツアーと「貸切バス」の違いなどを学んでみませんか。その上で、お得に利用する方法などを紹介します。
「観光バス」と「貸切バス」は「ほぼ同じもの」です。「観光バス」は「観光を目的としたバスの総称」で、各バスメーカーが「観光仕様」として発売しているタイプをいいます。
大型~中型で窓が大きく、背の高い眺望のいいバス。旅行会社がこういった観光バスを貸切り、旅行商品として売り出しているものが「バスツアー」です。
一方、個人や一般企業が貸切バスを借りる場合、その使用目的が観光とは限りません。結婚式の送迎や合宿、視察の送迎など、使い方はさまざま。一度に大勢が移動するのに便利な乗り物としてもよく使われています。
TVドラマなどで路線バスに乗るシーンがありますが、ああいった場合は路線バスを貸切って撮影している場合が多いです。ただしこの場合、路線バスを所有しているバス会社が貸切バスも運行しており(免許を持っている)、路線バスの車両を「貸切バス」として利用することに限られます。
私たち個人が貸切バスを手配して、自分たちで旅行の計画を立て、オリジナルの「観光バスツアー」をつくることもできます。ただし、旅行会社ではないので、それを宣伝して販売することはできませんが・・・。
でも、好きな場所から乗車し、自由に観光できるのでより満足度の高い旅を楽しむことができますよね!
貸切バスの目的は自由です。しかも貸切バスはバスの大きさや種類も自由に選べます。小型のマイクロバスから目的によっては大型のバスまで自由自在。
使用する人数や距離、目的などニーズに合わせて必要なタイプを選べ、予算に応じてバスを選べるメリットがあります。小回りが利いて便利なのです。
大型バス、マイクロバスなどは一般的に広く知られています。では、サロンバスやリフト付きバス、ハイデッカーバスといったバスをご存知ですか?
また、中型バスとはどのくらいの大きさをいうのでしょうか。貸切バスを大きさや特徴ごとに、詳しくお伝えしましょう。
大型バスは、側面に大きなトランクルームを備えた、50名ほどを収容できるバスです。修学旅行や観光旅行でおなじみですね。
大人数の旅行はもちろん、20数名程度であっても、スキーやゴルフへ行くときに快適に過ごしたいならとくにおすすめです。
中型バスの正席数は27席が一般的で、補助席がないのが特徴です。なぜかといえば、座席数が30席未満のバスは有料道路で大型料金を取られないから。
ただしトランクルームも大型バスより小さめなので、ギリギリの人数であれば荷物の少ない旅行に向いています。
マイクロバスは、街中でもよく見かけるのではないでしょうか。ホテルなどの送迎に使われるタイプで、10数人分の正席と、少しの補助席を備えています。
トランクルームは、基本的にありません。日帰りの果物狩りなど、短距離移動向きでしょう。
小型観光バスは、最近あまり見かけないかもしれません。小さいバスといって思い浮かぶのは、たいていマイクロバスではないでしょうか。
20数名を収容できますが、トランクルームが貫通式ではなくかなり小さめなので、日帰りや一泊程度の小旅行向きです。
小型観光バスはすでに製造が終了して約20年以上が経過しており、年々数を減らしています。エンジンが排ガス規制に対応していないため、環境保護の観点からも運行を続けるのは難しいのが現状。
一番安い料金で利用したいなら小型マイクロバス、観光仕様のバスでゆったり移動したいなら中型バスのご利用をおすすめします。
ジャンボタクシーはタクシー会社が所有するもので定員数は9名以下と法律で定められています。所有するタクシー会社が少ないので、事前予約が求められます。
貸切バス会社が所有する10~13名乗れるミニバス(コミューター)というものも存在します。マイクロバスよりも車体がコンパクトなので、こちらのバスを希望される方も多いことは事実。
しかし、所有しているバス会社がほとんどないことと、料金はマイクロバスとまったく同じなので、むしろマイクロバスを借りた方がお得といえるでしょう。
大きさ別でみたときに小型バス・ミニバスはかなりレア。バス料金を安く抑えるなら断然マイクロバスです。
どうしても希少なバスに乗りたい、ということであれば料金が高くなっても借りる、という選択肢もあるかもしれませんね。
サロンバスという言葉はなじみがないように思えるかもしれません。でもおそらく多くの人が、実際に、もしくはテレビなどで目にしたことがあるでしょう。座席を回転させることで座席全体が向かい合わせのコの字型になるバスのことです。
サロンバスならテーブルを囲み、皆が向き合って話せるため、移動しながら飲食を楽しんだり、ゲームをしたりということが可能です。回転できるのは後方10席程度ではありますが、みんなで楽しみたい人と1人で休みたい人が同乗できるメリットがあります。
リフト付きバスは、車いす対応のバスで、福祉バスとも呼ばれます。車いすのままでも楽に乗り降りできるよう、乗り込み口にリフトやスロープがついているバスです。
高齢化にともない、とくに葬儀や法事などの場面では車いすの参列者が多くなってきました。また、リフト付きバスなら「足の悪いおばあちゃんにも結婚式に来てほしい」といった願いも叶います。
ただし、こういった福祉車両は台数が少なく、貸切料金も高額です。東京都でも東京オリンピック開催までには、リフト付きバスを増やすため、助成金を出すといっているので、もっと利用できる機会が増えるといいですね!
ハイデッカーバスは、観光バスなどによくみられる背の高いバスです。見た目は2階建てのようでも、実際は1階建てです。客席部分の床をぐっと上げることで、見晴らしをよくしています。「high(ハイ)なdeck(デッキ)を持つ」という意味が込められています。
ハイデッカーバスは、もちろん通常のバスよりも割高ですが、途中でいくつも景勝地を通るようなバス旅行には最適です。観光地でなくても、海沿いをひたすら移動するような時間帯があれば、窓の外を眺めてリフレッシュ気分を楽しめるでしょう。
スーパーハイデッカーバスは、ハイデッカーバスよりもさらに車高が高いバスです。ほぼ2階建てと同じ高さになりますが、やはり2階建てではありません。
2階建てバス(ダブルデッカーバス)を扱う貸切バス会社は滅多にないため、大型のスーパーハイデッカーバスが、貸し切りバスの中では最大といえるでしょう。
ハイデッカーバスやスーパーハイデッカーバスには、サロンバスとしての機能も兼ね備えたものがあります。眺望を楽しめ、みんなでワイワイくつろげるため、最高にぜいたくなバス旅行が体験できますね。
バスの特徴と大きさを比較して、旅行の目的に合わせた貸切バスを選ぶようにしたいものです。
使い勝手が良さそうな貸切バスですが、上手に利用するにはある程度の知識も必要です。 費用も気になりますね。それでは貸切バスを上手に利用するコツを紹介しましょう。
貸切バスの料金は季節や地域によって異なります。ここでは東京の貸切バスの最低料金目安を紹介しています。(利用走行距離120㎞以内、利用時間8時間以内を想定)。料金には運転手つきでバスを走らせた場合の運賃とガソリン代、保険代が含まれています。
※バス乗降場所までの回送代は含みません。
※2023年6月27日に国土交通省から発表された新公示運賃額を基に計算した最低基準運賃です。各バス会社ごとに単価が異なるため、見積りを取らない限り、正確な料金は出せません。
旅行会社が企画する観光バスツアーは、年間でバス会社や観光施設、お店などと契約することでコストダウンを図ることができます。このため、個人で同じような内容のツアーを企画するよりもリーズナブルな金額設定が可能な場合も。
その分、行きたくない場所が含まれていたり、時間に制約があったりといった不自由さもあります。
個人でバスを貸切る場合と、どちらがいいか一概には比較できませんが、手配するわずらわしさがないのがメリットかもしれません。
いかがでしたか。観光バスと貸切バスの違い、料金の目安を紹介しました。貸切バスは目的と用途、人数によってはコスパが良いので、一度検討してみて下さいね。